ドッグトレーナーのホンネ

2008年6月28日 (土)

問題行動犬を扱ってきて思うこと

先日、家族を咬むというボーダーコリーのワンちゃんから、
トレーニングについてお問い合わせがあった。
もうすでに家族が頻繁に咬まれており、他のドッグトレーナーにも
数回依頼しているという。


最初のトレーナーは犬に触ることも、何をするでもなく帰り
(料金はちゃんと請求された)、次に来たトレーナーは
犬の首にショックをかけた途端に袖口を咬まれ、


「この犬は処分したほうがいい」と言ったそうだ。


話を伺っていると、かなり難しい犬なのは間違いないと感じた。
生来の神経質さと、生育の過程で過敏性を強化することが重なった
のだろうか。もし私が手がけるなら、薬物療法も視野に入れた
トレーニングになるだろう。


今年の話だが、咬むウェルシュコーギーのご相談があった。
首輪を外すために犬に触れることができない、というので、
ご自宅にお伺いした。


私の前に依頼した別のドッグトレーナーは、2回の訪問のうち、
一度も犬のリードすら手に取る事なく、ただ犬を見て


「口輪を装着できるようになったらトレーニングします」


と帰っていったらしい。


このワンちゃんは突然の攻撃行動の出現だったので、
まず病院で身体検査を受けるように(どこか異常がないか)と
お願いしたら、緑内障であることがわかった。

犬に聞くわけにいかないが、緑内障は眼圧が上がって
痛みがあるらしい。痛みは犬を攻撃的にするので、治療を進める
実際の方法と、生活での犬への刺激を最低限に抑えることを
アドバイスした。


当然、権勢症候群などではないので、そういったトレーニングは
一切していない。


攻撃的な犬を扱うのはとても難しく、危険なことだが、
「見てるだけ~」で料金請求dollarというのは、いかがなものだろう?


まあ、咬む犬のトレーニング方法なんて、誰も教えてくれないから、
訓練士は自分独自の経験と考えでトレーニングに挑んでいる。
ここ数年は犬の行動学から攻撃行動や問題行動に対する
アプローチ方法が、多方面から入手できるようになったので、
そういった勉強は欠かせない。


いずれにしても、自分が手を出せない、自分には無理!
と感じた症例に対しては、正直に


「私にはできません」「私はしません」


と言って断るのが、報酬をもらって仕事をする者の誠意
じゃないだろうか?
頑張ったけどだめだった、ということもあるかもしれないが・・・

以前、10歳の咬む柴犬を預かったとき、何軒もの訓練所で
トレーニングを依頼したが断られた、と飼い主さんが
話してくれた。

改善の余地があるかわからないものに時間を費やしたくない、
身の危険を犯したくない、ということは、最初に断るのもアリかもな~
とは思う。前にも書いたが、ドッグトレーナーこそ、
おいそれと咬まれて怪我をするわけにはいかないからだ。


私も勇気があるから攻撃的な犬を扱える!というわけじゃない、
怪我をすることもないわけじゃないけど、本当に愛犬と良い関係を
築きたい!とがんばっている飼い主さんの気持ちに応えたいから、
今日までがんばってこられたのだと思う。


そうやって頑張ったかいあったのか、今ではだんだん咬む犬にも、
パターンがあることがわかってきた。
扱うこちらも余裕がでてきて、「ああ、これはあの子と似た犬だな」
なんて、冷静に分析していたりする。


そんな余裕がなかった数年前は、攻撃的な犬の預託訓練が重なった
ときには、家族(私の)からのクレームも出た。


「そばで見ているほうの神経がもたない」


と、体は太いくせに神経の細い母がこぼしたのだ。
私も神経を張り詰めるが、見たくなくても見ざるをえない
トレーニング風景のそばにいる家族は、かなり心労があるらしい。


試行錯誤し、悩み、考え、大変だ大変だといいながらも、
攻撃的なワンちゃんを扱い続けて5年になるが、この仕事は
一生懸命やったことが、いつの間にかエキスパートになるようで、
攻撃行動の犬に関してはかなりスキルアップしたと思う。


まだまだこれからですけど・・・ね!
気持ちも新たに、頑張っていきますsign01dog

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2008年4月24日 (木)

犬を捨てるということ

子供がおたふく風邪になって、昨日から学校を休んでいる。

おたふく風邪は強制的に出席停止になるので、1週間から10日は学校
へ行くことができない。去年、おたふく風邪だと思って病院に行ったら、
単なる耳下腺炎だったらしく、「そのうちおたふく風邪のワクチン接種を
しましょうね」と、看護婦さんに言われてたのだが、その前にあっけなく
罹患してしまった。down

初日は痛みでぐずっていたが、病院から処方された痛み止めがエラク
効いているらしく、食欲もあって元気いっぱい、顔が腫れていなければ、
誰も病人だとは思わないだろう。

休んでいるのはいいが、始終家の中で「タイクツダ、タイクツダ!」と
うるさいので、こちらも迷惑しごくである。外遊び命!の息子は、公園に
行けないので欲求不満タラタラで、気を紛らわせるためにDVDをかけ、
ときどきは遊びの相手にもなり・・・早く学校に行ってほしいcrying

そんな中、退屈でつけっぱなしになっていたNHK教育テレビで、偶然
秋田県の動物管理センターの実情を放送していた。命を考える、という
趣旨の子供向けの番組だったのだと思う。

管理センターの所長さん、スタッフの方たちが、収容期限ぎりぎりまで
捨てられた犬たちを世話し、全員が残念な気持ちで処分にあたっている
ところ、子犬をしつけて新しい飼い主に譲渡する話などを、子供にわかり
やすい平易な内容で作られた番組だった。

私は一概に「犬を捨てるのは悪いこと!」という、勧善懲悪的概念を
訴えるのではだめだと思う。

犬を捨てるということは、殺すことと同じ

キツいかもしれないが、この番組が伝えたい真の意味だと思う。

誤解を恐れずに言うと、私は犬を殺すことに反対しているわけではない、
この仕事をしていると処分する以外にどうしようもないほどの、
攻撃的な行動を起こすワンちゃんに遭遇することも少なくない。
また、癌など病気による耐え難い痛みを避けるために、愛犬の安楽死を
選択する飼い主もいる、それを誰が責められるというのだろう?

犬を飼うということは、その生死に責任を持つ、ということだと思う。
生かすも殺すも、飼い主の責任にかかっているということを、飼う前から
しっかり認識してほしいと思う。

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デュークは動物管理センターから引き取った犬だ。引き取るとき、もし
私がさじをなげるような犬であれば、安楽死をする覚悟で引き取った。
大型犬だし、家には小さい子供がいる、どんな生い立ちかもわからない、
攻撃的な犬かどうかもわからない犬を引き取るのだから、それなりの
覚悟が必要だと思って連れてきた。

結果は呆れるほどエネルギッシュで、吠えてどうしようもない犬だが、
攻撃的ではなかったので、彼は命拾いをすることになった。デュークは
結果オーライだった例だが、そうでないことも想定して引き取るのが、
犬を飼う責任だと私は思っている。

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2008年3月10日 (月)

しつけ本、犬育てマニュアルへの疑問

ドッグトレーナーをしていて、実際に出張トレーニングに赴き、子犬の
しつけや問題行動の改善に取り組んでいる私ですが、しつけマニュアル本に
書かれてることで、思わず首をかしげてしまうしつけ方法や、してはいけない
犬への接し方(と書いてある)があります。

お客様に、「こういうときはこうしてください」と話したとき、

「それはしつけ本に書いてあることと反対ですね」

と言われてしまうことが結構あります。ドッグトレーナーもしつけ本もそれぞれ
だから~と思って気にしないでいたけれど、今日ハッキリと

「それはいかがなものか?!」

と声をあげた本があったので、ご紹介いたします。


私は早速買って読んだけど、石川さんといえば、私にとっては
ムツゴロウさんの著書で登場する、動物王国の担い手でムツさんの片腕
として、自分の知人のように知っているツモリの人物。その方の著書は、
とても興味深く、すらすらと読めて面白かったです。

まあ~すべて納得・・・といことではないです、特に都会で少ない家族と
閉鎖的に暮らすわんこの現状を、おそらくこの方は広い王国内で雑多な犬が
暮らす経験しかないでしょうから、肌身に体感してないから書けるのかな?
という記述も2、3ありました。それでも、これから犬を飼おうと思っている方や、
問題行動というほどではない、犬育てで「?」を抱えている方は、とても安心
し、自信を持って犬を飼えるんじゃないだろうか、と思います。

「犬にはぜひ牛乳を」「人間の残飯は貴重なエサ」「上下ではなく母と子の
関係」「サマーカットは犬には地獄」など、ちょっと見出しのタイトルをチラ見
しただけでも、手に取りたくなる本じゃあないですか(笑)
犬を飼うことで、喜びと同時にストレスを感じている人に、是非お勧めします。

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2008年1月28日 (月)

ラブラドールレトリロード

変なタイトルでごめんなさい、ラブラドールレトリバーって、
盲導犬、警察犬、麻薬探知犬、介助犬、と数々の使役犬の
なかでもジャーマンシェパードと並ぶくらいよく知られた犬で、
ドッグトレーナーのわたしなど、よく存じているであろう!

・・・・と思われていると思うのですが、正直に申し上げると
ラブラドールレトリバーのことはチト専門外です。
いえ、基礎的な知識はありますよ、お預かりもトレーニングも
何度もしているのですが、どうも私にとって、

「得体の知れない犬」「手間のかかる犬(運動などで)」

という印象の強い、苦手意識のある犬種です。
勘違いしないでほしいのですが、決してラブラドールを嫌って
いるのではないです、いつもお泊りしてくれる常連さんもいます。
ただ、油断できないのです、何をするかわからない犬、

こちらの想像を超えたこと、予想もしないことをしでかす犬No.1
が、ラブラドールレトリバーという犬への私の認識なのです。

それは知能が高く、感受性があまり強くなく(神経質ではない)
肉体的に非常に頑健だからではないかと思います、だからこそ
使役犬として万能の役目を果たして今日まで来たのでしょう。

アメリカやヨーロッパでは非常に人気のある犬種ですが、
私は日本人にはあまり向いていないんじゃないか?と思うことが
多いです。あまりにも頑健でパワフルなので、体力のない
アジア人向けではないような気がします。

私の経験ではゴールデンレトリバーや、ジャーマンシェパードの
ほうがずっと扱いやすいと思います。ロットワイラーとほぼ同等
じゃないか?と思うくらい、ラブラドールレトリバーは飼い主に
体力も知力も要求する犬種だと思うので、十分な覚悟と気合を
もって飼いはじめてほしいです。

先日、若いラブラドールレトリバーの飼い主さんから電話があり、
日帰りステイをお願いしていたショップの室内を破壊して、
もう今後お預かりはできないと言われた、とショックを受けた
ことを聞かされました。

どういう状況でお預かりしていたのかわかりませんが、生後
1歳にも満たないやんちゃなラブラドールを、人の見ていない
ところで自由にさせていたのなら、何らかの被害をこうむっても
仕方がないんじゃないか?というのが、私の感想です。
私なら、絶対に屋根のついたハウスに入れずに、その場を
離れるなんてことはしません、フローリングの床を掘られても
文句言えないのがラブラドールですよ?!

若いラブラドールレトリバーのお預かりは、とても神経を使い
ます、食器に水を入れっぱなしになんて絶対にできません、
彼らは水の入った食器を咥えて振り回すくらいの芸当を、
平気でやってのけますから。ある程度の年齢になれば、どれも
沈静化することばかりですが、若い犬はどんなにおとなしそうに
見えても、絶対に油断禁物!何をするかわかりません!

若いうちはとても飼い主の時間を割いて付き合ってあげる必要
がある犬種のような気がします。遊んであげなければならないし、
たっぷり自由運動もさせてあげなければならない、人間の子供
と同じくらい手がかかるけど、そのぶんの見返りはある犬です
から、本当に犬に時間をかけられる人が飼ってあげてください。

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2008年1月 9日 (水)

獣医さん、たのんマスよ!

前回、指導を受けたらそれを信じて・・・と書きましたが、
信じてはいけない指導もあるので、一言書き加えたいと思います。

子犬のしつけ、パピートレーニングのご相談のほとんどは
甘噛み、トイレトレーニング、お散歩、食餌指導ですが、
毎度毎度伺って、本当にゲンナリしてしまうのが

獣医さんが、○○をしたら口を強く握って叱りなさいと言った

獣医さんが、△△をしたら首根っこを押さえつけて叱りなさいと・・・

獣医さんが、□□をしたら鼻を叩いてイケナイと叱りなさいと・・・etc


という、獣医さんからのトホホ指導の数々を聞かされることです。

飼い主さんは獣医師=犬のエキスパートだと思っているので、
まずかかりつけの獣医師に相談しているんだと思います。
でも、幼い子犬を押さえつけたり、叩いたりしても、事態が改善する
ことはほとんどありません(だから私に電話が来る)
そんなことは、もう犬のしつけの世界では常識になっていると
私は思うのですが、獣医さんはほんの初歩的なしつけの本すら
読まずにしつけのアドバイスをしてるのでしょうか?

別に獣医さんがしつけのエキスパートでなくてもちっとも恥ではない、
と思うので、いっそ「自分はしつけについては専門外だから、ドッグトレーナー
に相談しなさい」というアドバイスをしてくれないかなぁ~あ、でも
ドッグトレーナーとつながりのない獣医さんだったら、そういうアドバイスも
無責任ぽくてできない?のでしょうか?

飼い主さんから、「獣医師から指導は受けたが状態が悪化したのでやめた、
どうしたらよいのか?」という相談を受けると、ああ、やめてくれて良かった!
とホッと安心する一方で、早くにワンちゃんの様子を見てこじれてしまって
いないかどうか、確認したくてたまらなくなります。

まあ・・・これは獣医さんに限らず、ドッグトレーナーでも同じだと思うのですが、

「この指導、何かおかしい?!」と思ったら、セカンドオピニオンとして
他の専門家に意見を聞いてみてください。そして獣医さん、たのんマスから
アドバイスするならしつけの勉強・・・してください・・・


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2007年12月31日 (月)

プロ根性の見せ所

仕事をしていてよく言われるのが、

本で読んでもわからないことをいっぱいお話してもらった!

という、お客様の感激の声。そう、犬のしつけは本やブログを
読んだだけでは解決しないことも多いのである。
最近の飼い主さんはとても勉強熱心な人が多い、しつけ本を
何冊も読んで勉強している方はざらにいる。

巷にはしつけ本が溢れ、「犬のきもち」なんていう、すばらしい
しつけ雑誌もあるから、自分で解決できないのはダメ飼い主?
と、落ち込む人もいるけど、そこがプロとアマチュアの差で
決してダメ飼い主などではないのだ。

飼い主さんは自分の犬しか飼ったことがないので(当たり前・・)
日常生活を観察する機会が自分の犬に限られている。
私達プロは、日々沢山の犬達と接し、問題行動の依頼を受ければ
駆けつけて原因を探り出し、解決方法を自分で考え出し・・・
ということを、何十頭、何百頭とやっているから、経験値がまったく
違うのだ。

経験値が違うと何が一番違うのかというと、その犬の状態が不安から
来るものなのか、興奮からくるものなのか、権勢欲からくるのか、
30~60分ほどカウンセリングすると、だいたい把握できるということだ。

しつけ本やプロの書くブログでは、不安行動にはこう対処したらいい
ですよ、権勢的な行動にはこう対処したらいいですよ、とは書いて
いるが、飼い主さんには自分の犬がどの状態なのか判断できないし、
判断が間違っていることもあるし、自分の判断に自信もないので、
結局は

「しつけ本の通りにはいかない」

という状態になるのだと思う。

私の判断と飼い主の判断が違うことは良くあって、飼い主が
寂しがって犬が吠えていると思っていることが、実は犬は「飼い主を
心配して」吠えている、ということがある。他にも例をあげたらきりがない、
経験値の差は「犬語(語というのは変だけど)理解力レベルの差」
ということになる。

犬は犬語をおしえてはくれないので、ドッグトレーナーは必死になって
犬の行動を観察し、共通項を探し出し、自分なりの解釈と行動学に
秀でた獣医師やドッグトレーナーの意見とあわせて、犬語の勉強を
しなければならない。私が専門学校のドッグトレーナーの講師だったら、
ワンワン吠えて手に負えない犬を、臆病なのか、興奮症なのか、威張って
いるのかを生徒に当てさせる、なんて授業をやってみたい。

先日も家族に突然飛び掛って噛みつく(怪我をする程度ではないが
頻繁で、うっとうしい)という行動を一日に何度も繰り返すワンちゃんの
ご相談で出張訓練に伺ったが、その犬は私に依頼する前に行動療法
専門の獣医師にカウンセリングを受けていた。その獣医師は

この子はとても臆病である

と言ったという。でも自宅に伺ってみるととても堂々とした態度で
出迎え、私達侵入者を落ち着いた態度で観察していて、どう見ても
臆病な犬とは程遠いのである。

確かにテリトリーである我が家を離れると、元気な犬も臆病になるのは
よくある、これが私が出張のトレーニングにこだわる理由でもある。
家で起こっている問題行動は、その犬のテリトリーである家に出向いて
犬を観察することが一番大事だと思っているからだ。このあたり、診察室
だけで犬の様子を判断しなければならない獣医師には、制約があると思う。

でも飼い主の立場になってみたら、犬語を読み違えるというのは、
トレーニング方法やアドバイスに多大な影響を与えるので、最初の
犬の状態の判断は、ものすごく重要なのだ。その時点で読み違えを
されてしまうと、犬も飼い主も混乱状態に陥ってしまうので、私は

最初のカウンセリングの1時間に全神経を集中させて挑んでいる!

といっても過言ではない。幸い犬は人間と違い、他人の前で演技して
自分に不利なことを見せない、といった高度なことはほとんどしない、
特にテリトリー(自分の家)ではしないので、ありのままの姿を見る
ことで、その犬の現在の状態、過去の経緯からくる正確な状態を
見極めるところに、私のプロ根性が大いに燃え上がるのである。


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2007年12月13日 (木)

ぶり返した話

今までに何度か、他のドッグトレーナーまたは行動療法を行う
獣医師に問題行動の犬についてトレーニングを受けたことのある
飼い主が、問題行動がぶり返したので困っている、と相談を
もちかけてくることがあった。

私は、問題行動が過去に一度その人にトレーニングを受けて
良くなったのなら、もう一度「問題行動がぶり返した」と
相談すべきだと思う。良くなったけど、どうも気に入らない相手
だったというなら話は別だろうけど、問題行動は「経過」が
とても大切なので、カルテやデータを持っているほうが、次の
手を打ちやすいし、問題にも早く対処できると思う。

違う人に依頼したほうがいいのは、「良くならなかった場合」、
または、「同じアドバイザーにかかってだんだん悪化していく
場合」だ。今年は何件か、そういう相談もあって無事解決
できたときには(全件解決!)

「勝った・・・!」

と誇らしく思ってしまう。こういうことは勝ち負けではないだろうけど、
やはりお客様に満足を与え、仕事をりとげ、かつ同業者より能力の
あるところを示せた!という達成感は、何ものにもかえがたい喜び
であるし、仕事のモチベーションにつながっているのだ。

また、ぶり返したときには必ず連絡してほしい、という一言も
忘れないようにしている。というのは、打つ手は一つではない
し、同じように見える問題行動でも違う要因がからんでいる
こともあるので、担当したデータのある私にまず一言相談して
くれればと思うのである。

まだこの仕事を始めたばかりで未熟だった頃に担当した
お客様は、今はどうしているだろう、と思い出すことがある。
特に何回も通って改善の見通しがはっきりしなかったり、
完全に飼い主さんが満足のいく状態でトレーニングを終了
できなかった(と私は思っている)ワンちゃんなどは、
忘れることが出来ずに、何かの拍子にふと頭をよぎる。

今の私だったら、あの子にはこういう方法をとったな~

今の私だったら、あの子にあの方法は取らなかったな~

今の私だったら、もっと上手く説明して納得してもらえたな~

言い出したらきりがない、でもそういう経験が私を育てて
くれたわけだ。初期の頃は回数を通う分、料金も安かった
ので、それほどお客様に大損はさせなかった・・・かな?
というのがせめてもの慰めである。


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2007年12月 5日 (水)

犬を買うより飼うことを考えよう

犬を買ったとき、皆さんは犬を飼う事にどのくらいお金がかかるか、
考えて買ったでしょうか?

あるサイトで、犬種を紹介するとともに、生涯費用として、飼う為に
かかる費用を目安として掲載していて大変感心した憶えがあります。
費用は愛犬にどこまで医療費をかけるのか、(例えば癌などの大病
をした場合など)トリミングが必要な犬種なのか、アレルギーや病気
になりやすい、なりにくいかなどで違いはあると思いますが、

犬は買うよりも飼う費用が膨大である!

ということをよくよく考えてから飼って頂きたいと思うのです。

昔は外で繋いで飼い、残飯を与え、ある日突然死んでも、
「あら、可愛そうに、埋めてあげましょう」
みたいな飼い方をしている人が一般的でした、今でも農家の
番犬などはそういう飼われ方をしているようですが。

でも昨今は最低でも年間の予防接種費用、狂犬病の注射、
ハウスに首輪にリード、室内排泄ならペットシーツ、トイレトレー、
寒がりの犬種であれば季節ごとの服(本当に必要です)、
トリミング犬種ならその費用、旅行に出かけるときは
ホテル代(大型犬は小型犬よりずっとかかります)などなど!
愛犬にかかる生涯の費用は数百万円、とも言われています。

私に仕事の依頼をしてくる人のほとんどは、トレーニングに
費用をかけても愛犬ときちんとした関係を築きたい!と
思っている方たちなので、必要であればドッグフードを変えて
もらったり、トレーニングに適した首輪などを買い換えて
いただくことも容易です。

しかし、ペットホテルを経営している友人などは、アドバイスを
しても犬にそんなにお金をかけていられないわ・・・という人も
沢山いると言っています。それでいて、困った行動や体調が
悪いことを嘆いていたりするそうです。

私自身は、どんなに高額な医療費をかけても、最高の治療を
犬にほどこそう!と思ってはいません。でも、毎日の健康を
維持するためのドッグフードにはお金をかけていますし、運動の
ために必要な首輪やリード類は古くなったら交換します。
他人に迷惑をかけないよう、病気の予防のワクチン接種も
受けさせています。

そういった最低限必要なお金でも、大型犬と中型犬が2頭いれば、
年間10万円の出費です。これにはハウスや食器、リードなどは
含まれていません。病気をしたらあっという間に経費が倍になる
ことも希ではありません。

動物管理センターに収容されているワンちゃんの、今は半数が
純血種のワンちゃんです。一目ぼれして買ったはいいけど、
面倒見切れなくなって・・・というケースではないかと、心が痛みます。
犬は買うよりも飼う方がお金も、労力もかかる生き物なのだ、
ということを重々考えてから飼い始めてほしいと思います。


デュークも小次郎も「無料犬」なのに、飼う費用のかかること・・・
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2007年12月 3日 (月)

犬はどこまでいっても犬じゃないか

この仕事を始めてから、実に沢山のドッグトレーナの著書を読んだ。

犬の飼い方についておおざっぱに書かれた本ではなく、
犬の行動学について書かれた本、犬の問題行動を行動療法で
改善しようという内容の本を数十冊は読んだと思う。

アメリカ、ヨーロッパの獣医師、ドッグトレーナー、行動学者の本
が非常に参考になるのだが、どの人にもその人のスタンスという
ものがはっきりある。そのスタンスが私的に共感できる人もいれば、
どうもそれは・・・という人もいる。そのスタンスの差は、

犬という存在を、その人がどう捉えているかで決まる

のではないかと、私は思う。

犬を「人間より賢い」とか「守り愛してあげる、何よりも大切な存在」
と捉えている人と、「犬は所詮犬なのだから、犬らしく扱ってやるべき」
という人の犬に対するアプローチは、共通点もあるが根本的に違うと、
私は感じている。

私は当然後者で、犬は犬、人間の存在を超えるものではない、
と感じている。これは正しい、間違っているという話ではないので、
誤解しないで欲しい。人間より遥かに崇高な存在だ!と主張
する人が間違っているとは言わないし、現にそういう人は沢山いる。
でも、私は犬はどこまでいっても「犬」なのだ、と考えているし、
その考えが今の仕事をするために、非常に大切だとも思っている。

犬を崇高な存在だと考えたり、与えた愛情に見合う愛情を絶対に
返してくれる生き物だ、と考えてしまうと、そうではない反応を
犬が起したときに冷静になれない、という問題が生じる。

相手は「犬」なのだから、犬にわかるようにこちらの意思を伝えて
あげよう、と考えたほうが精神衛生上ずっと好ましいし、実際に
リーダーシップをとるためには、人間が上位に立って犬の行動の
方向性を考える、ということが大事だと思う。

犬を「犬として扱う」ということは、犬を軽んじるということではない。
こちらが犬の立場になって行動の意味を把握し、どう行動したら
良いのかを示さなければならないのだから、犬に理解できる言葉
(声を出す”言葉”ではない)でこちらの意思を伝える手段を
学ばなければならないのだ。

犬を犬だと認識しないで飼うことは、結果的に問題行動の大きな
原因になる。どんな飼い方をしても問題行動を起さない犬もいるが、
私に犬の起す困った行動で相談を持ちかけてくる人のほとんどは、
飼い主が意識せずに、犬にしてはいけないことをし、しなければ
ならないことをしていない。

私の仕事は飼い主さんの犬に対する行動を改善してもらうことで、
飼い主が変われば犬も劇的に変わる。犬を犬として愛してあげること
こそが、本当に幸せな犬ライフをおくる鍵だと信じてる。

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2007年11月28日 (水)

犬語のブログはキモイ

星の数ほどあるブログ・・・ペット関係のブログも相当な数で、
もしかしたらこれから書く話しに該当しちゃうお客様もいるかも
しれません、しか~~~し!

王様はロバ!

じゃないけれど、言わずにはおられないので、言っちゃいます、

犬語で書いてるブログはキモイ!!!!

あ~~すっきりした、すっきりした(笑)
前から大声で言ってみたかったのよね~
正確に言うと「犬が一人称の文で構成されているブログ」
ってことです。犬好きな人には気にならないのかもしれないけど、
一般レベルで見るとすげーーーキモイですよ、犬語ブログは。

過去に一度だけ犬語で出張訓練の相談メールがきました、
文章は完全に私の創作ですが、雰囲気はこんな感じ↓

「ぼくは○才のフラットコーテットレトリバー、犬が嫌いで近寄ったら
怖いよ~う~~って噛んじゃうんだ。人は好きだけど急に近寄って
きたらやっぱり嫌だから、ワンワン吠えておっぱらうんだ。そのたびに
ママは悲しそう、今日は泣かせちゃったんだ、ゴメンねママ」

こういう依頼のメール、信じられます?いくら犬好きでも、初対面の人に
犬が一人称のメールはないでしょう!?犬好きもいいけど、せめて
一般人レベルの常識を保ってメールしていただきたいものです。

私も”日常会話”では、結構犬の仕草を翻訳して話したりして
周囲を大笑いさせてますヨ?犬の仕草や、出す声の真似も上手い!
と言われます。でもね~~さすがにデュークや小次郎の一人称で
ブログを書く・・・なんて、そんなのはやだな~

辛らつに私のことを批評したり、からかってるっていう内容なら、
そこそこ面白いかもしれませんけどねぇ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

やっぱ私も書いてみようかしら、犬語ブログ?!


そーだそーだ、書け書け犬語ブログ!という人も、
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2007年11月20日 (火)

人間をトレーニングするほうが儲かる?!

このごろ驚くのは、犬の訓練所がこぞって訓練士養成学校を開設し、
生徒を募って入学させ、卒業後に訓練資格を取らせるという業務を
始めたことだ。専門学校でも、軒並みドッグトレーナー部門を設けており、
この傾向はこの数年かなり強まっているように感じる。

ということは・・・?犬の訓練をするよりも、人間のドッグトレーナを
養成する学校を経営するほうが、儲かるということですか?
少なくとも、経営的に利益があるからやるんですよね。

元々犬を訓練するのが訓練所の仕事だが、大型犬を飼う人はかなり
減っているし、景気低迷の打撃を受けるのは緊急性のないサービス。
スポーツクラブも、みな入会金や会費を値下げしてるではないか。
犬を訓練してもらおう、と思う人が減って経営の苦しい訓練所が増えた
としても少しも不思議じゃない。

愛犬が吠えてマンションを追い出されそう!ということには緊急性が
あるけど、愛犬に訓練資格を取らせて自慢したい!というのは
緊急性がまるでない。犬を訓練する、というのはペット産業の中では
需要が減った分野ではないかと思う。

だから訓練所がこぞって犬よりも人間のほうに注目を向けている
んじゃあないのか?と、勝手に推測しているのである。
訓練所が、ドッグトレーナーの養成を始めたことは、異論はない。

でも、その人たちの卒業後、資格取得後はどうなるのだろう?

正直、親兄弟がドッグスクールの経営者である、というのでなければ、
専門学校を卒業したての訓練士を訓練所が雇う率というのは、
それほど多くはないと思う。電話帳を見ても、動物病院やペットショップ
は沢山あるが、犬の訓練所はそうそう沢山あるものではない。

雇ってもらうところが少ないなら、自主開業という手もあるが、
20代そこそこのお兄ちゃん、お姉ちゃんが、一人で社長となり、
全責任を自分で負って、出張トレーニングだけで顧客を増やす?
できれば、たいしたものだと思う、でもそんな人はほとんどいないだろう。
つまり、ドッグトレーナーの資格はあるけど、ただそれだけ・・・
なーんて人が増えるんじゃないの!?

ん~でも考えてみたら、「資格を持っている」ことだけで満足!
と言う人もいるだろうから、一概にそれがダメ、とも言い切れない。
でも、本当に将来を考えて資格を取ったけど、仕事がない、
自分で開業もできない、じゃあ、お金と時間の無駄じゃないの~?
って思うわけですよ。

私の訓練所時代の同期生は、訓練士の資格を取得して後に、
5年ほどは他の訓練所に就職して経験を積みます。
結局実務経験が物をいうわけだから、資格なんてあっても
即開業とはならないんでしょう。だいたいは修業の後に独立開業、
という道をたどっておりました。

日本訓練士養成学校では、2年間でジャーマンシェパード2頭に
専門的なトレーニングをほどこし、朝から晩まで犬の世話に
明け暮れ、食餌も生徒が作り、獣医学や犬の基礎知識について
みっちり勉強させられます。

トリマーや動物看護師を養成するような専門学校のドッグトレーナー
養成部門で、はたしてどのくらいの経験が得られるのか・・・
訓練所で大変な苦労を味わった私は、首をかしげずにはいられ
ないのである。

昔は古臭い考えだと思っていたけど、今となるとヘタに専門学校
などに行くより、薄給でも訓練所で働きながら、訓練のスキルを
見につけたほうが、よっぽど経験豊富な訓練士になれると思う。
そういう徒弟制度が昔は一般的だったのだ。

ところが、「徒弟制度」はなくなり、訓練所もお金を「取って」
訓練のスキルを伝授する時代になってしまった。
簡単に資格が取れても、その後がない・・・なんて若い人が
増えないことを祈るばかりだ。

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2007年11月19日 (月)

公認訓練士、肩書きの裏側

よくドッグトレーナーの肩書きに、
JKC公認訓練士とか、PD公認訓練士というのがついているが、
このJKCとか、PDって何か知ってますか?

ネットで調べればすぐわかりますが、畜犬団体と呼ばれるもので、
JKCはジャパンケンネルクラブ、PDは日本警察犬協会のことです。
ここでは公認訓練士資格というものを設けていて、それに合格
した人に訓練士の認定資格を与えている。

試験の合格、不合格の前にまず本人が各団体に会費を払って
入会しなければならない。そして試験を受ける犬も同じように
登録する必要がある。PDのほうはよく知らないが、JKCは
自分でトレーニングした犬(という名目だが、誰も調べない)を
5頭、訓練試験で合格させれば公認資格がとれる、ということに
なっている。

でも、この公認訓練士資格というのは、国家試験でもなんでもない。
JKCやPDは歴史ある畜犬団体だが、最近は聞いたこともないような
団体が、ほとんど授業を行わずに試験向けの冊子を有料で買わせ、
受験料を取って受験させ、合格すれば「ドッグカウンセラー何級」とか
「ドッグトレーナー○○」などと、自分達で決めた資格を発行している
ので、驚いてしまう。

名のあるJKCやPDでさえ、国家試験ではなくあくまでも独自の資格
発行なのに、有象無象の団体の発行する資格なんて、どうにも
胡散臭くてしかたがない。それならまだ、愛玩動物管理士のほうが、
獣医師や犬の訓練所の訓練士が理事になっていて規模も大きく、
年に数回の会合なども設けているので、はるかに信頼性があると
思っている。

私は日本訓練士養成学校で1年間過ごしたおかげで、犬の訓練に
関してはかなり専門的なレベルのトレーニングを受けることができた。
服従訓練から警戒、防衛、物品選別といった、警察犬レベルの犬を
トレーニングする技術を学んだ。しかし、問題行動に対処する方法や、
動物行動学を学ぶ機会は全く無い。(比較的あたらしい学問だから
でもあるが)それについてはほとんど独学と、経験で対処しているのだ。

ということで、結局はドッグトレーナーの能力や得意分野は、
肩書きを見ただけではわからない、ということになる。
公認資格の有無や賞歴は、その人が犬をトレーニングする能力が高い
という証明であっても、問題行動を解決する能力が高いという証明では
ないかもしれないということ。

愛犬の問題行動を相談するなら、その人の訓練に対する姿勢や、
どういった方法で犬にアプローチして問題行動に取り組むのか、
ということを必ず仕事を依頼する前に聞いたほうがいい。
少しでも疑問があるなら、ほかをあたってみよう(墓穴を掘ってる?私?)

盲導犬の訓練士、警察犬の訓練士が、問題行動を解決する能力が高い!
・・・とは限らないので、周囲の口コミや評判はとても大事だと思う。
アメリカのドッグトレーナーや獣医師も、

「良いドッグトレーナーは紹介してもらうこと!」

なんて言っている。アメリカを含め先進国でもドッグトレーナーの国家試験
などない。何処の国でもドッグトレーナーというのは資格云々ではなく、
実績、実力がすべてなのだ(厳しい~!)

そうそう、ジョディ・アンダーセンというアメリカのドッグトレーナーは、
犬を訓練するのが上手なだけでなく、飼い主にトレーニングを説明するのが
上手な人を選びなさいと言っているが、まったく同感である。

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2007年11月18日 (日)

閉鎖的な世界

乗馬クラブの仕事をしていたときもそうだったが、動物関係の
仕事の世界というのは、とても閉鎖的である。
言い切ってしまっていいのかわからないけど、少なくとも私は
そう思っている。

そもそもこの仕事をしていても、同業者同士のつき合いとか、交流と
言うのはまったくない!と言って過言ではない。もっとも私がJKCとか、
PDといった蓄犬団体に所属していないというのもその理由かもしれない。

これが、JKCの訓練試験を犬に受けさせる、ということになったら、
お客様の犬に訓練資格を受けさせるとき、私が審査委員になるわけ
にはいかないので、そういった試験を開催している訓練所に出向くとか、
審査員のレベルの訓練士を呼んで審査してもらうとか、そういったことで
自然と横のつながりが生じると思う。

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私の仕事の大半は、咬む犬をどうしたらいいか、窓からちらりと人の姿を
見ただけでも吠え続けて困るとか、留守中に吠え続けて苦情がきたから
なんとかしてほしい、といった、「犬が起す困った行動を解決する」
ということであって、訓練試験に合格させることではない。
それゆれ、同業者と関係する機会が生じにくいのかもしれない。

むしろ私とつながりがあるのは、ペットホテル経営者や、ペットシッター業務の
人たちである。彼らはごく一般的な家庭犬を世話しているので、飼い主さん
から相談をもちかけられることがとても多い。
オスワリやマテをおしえればいいだけ、とは思えない、困った行動を起す犬の
トレーニングの依頼を紹介されることもよくあるし、そういった犬について話をする
機会もとても多いのである。

おそらく札幌市内にも、私のように問題行動を起す犬を専門的に扱っている
ドッグトレーナーもいるはずだが、その存在がよくわからないので、コンタクトを
とりあうことがない。新規参入も、消えていく個人経営のドッグトレーナーも、
「いるらしい」ということしかわからないのである。

私は、自分の仕事にもっと情報の交換がほしいと思う、自分が扱う犬の数には
限りがあるので、同業者で意見の交換や、体験話をする機会があれば・・・
以前盲導犬の訓練士さんとお話しする機会があったが、

「咬む柴犬なんて、どうやってなおしてるんですか?!」

と逆に質問されるくらい(^^; 問題行動の解決と、ドッグトレーニングは
似て非なる仕事内容なのだ。東京などでは、高名な海外の問題行動の専門家
である獣医師やドッグトレーナーがセミナーを開いているので、そういったことに、
もっと時間を割いて参加すべき?と思うこともあるが、私がしたいのは講演を聴く
ことではなく、カンファレンスだ。

自分が今目の前にしている問題を解決してほしい、ということではなく、自分には
ない考えや手腕を持っている人と交流を持ちたいというのが、最近よく思う
ことなのである。

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2007年8月25日 (土)

飼い主の「大丈夫」は当てにならない

飼い主さんに失礼かなぁ?と思いながら書かせていただきます。

「この子は臆病ですが、咬んだことはありません」

問題行動を起し、家族を咬むことがあるワンちゃんなのに、
愛犬のことを悪く思って欲しくないのか、そう言う飼い主さんは
結構たくさんいます。でもその言葉を真に受けて訪問すると、
手痛いしっぺ返しを食う・・・ということをすぐに学ぶことになりました。

なぜか犬は私が家に入ると

「こいつは単なる訪問者ではない」

と、瞬時に見抜きます。私のことを「油断のならない、自分の生活を
脅かす存在かもしれない」と疑うのです。犬の洞察力はすごいですね。
ただの訪問客には吠えて威嚇するだけのワンちゃんでも、
ドッグトレーナーが家に入ったとたんに攻撃してくる・・・
こんな経験を持つのは私だけではない(と思いたい)はずです。

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一番攻撃的な行動を起しやすいのは、臆病な犬です。
臆病で自制心の弱いワンちゃんが一番攻撃的で、権勢的な行動をとる
ワンちゃんのほうが、むやみやたらと見知らぬ人に攻撃的な態度を
とることは少なく(護衛犬の素質を持つ犬は別です)、
むしろ群れのメンバーではない他人には寛大であることも多いです。

「来客があると猛然と吠えて威嚇する」「普段から少し臆病な気質がある」
「ハーディング(牧羊)系の犬種、または日本系犬種である」
「気に入らないことがある、または興奮が強くなると飼い主を咬むことがある」
上記ことが2つ以上当てはまるワンちゃんは、必ずリードをつけていただき、
ハウスに入れておく、首輪は絶対に抜けないように指一本だけ入るきつさにする、
これらのことを訪問前にしていただくようお願いしています。

過去に何度か危険な目にあった経験をご披露しますと、
ドアを開けた瞬間にイキナリ玄関に突進してきた20kgもあるワンちゃんに、
前足で腰を挟まれ「ガルルルルルル」と威嚇されたり
(これは下手に動いた隙に咬まれます)、
繋いでおいてくださいと頼んだリードが長すぎて、後ろからお尻を咬まれたり
(誰です?笑っているのは!?)
訪問中にずっと吠え続けるのを無視していたら

「テメー無視すんじゃねぇ!!」

とばかりに咬まれたり・・・
抑えて置いてくださいと頼んでいるのに、飼い主さんがつい油断して
リードを緩めてしまい(決して犬が大きすぎたわけでない)
猛然と攻撃してきた犬に咬まれたり。

いずれも大事には至りませんでしたが、痛い思いをしたり
あざができるのは避けられません。
ドッグトレーナーは経験で話をしているので、「自分の子は大丈夫」
という考えは一旦しまっていただき、「不測の事態に備える」つもりで
トレーニングに望んでいただきたいというのが、私のささやかなお願い
なのです。

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2007年8月24日 (金)

慎重すぎると言わないで

当たり前ですが、いつも簡単で楽にできる仕事ばかり依頼が
来るわけではありません。やはりもっとも大変で緊張するのは
飼い犬が他人や他犬、場合によっては家族を咬むことのご相談。

私達同業者同士が共通で感じているのは

「咬む犬の家に初めて行くときはとても緊張する」です。

そう、ホンネをいえばドッグトレーナーだって咬む犬は怖いです、
むしろドッグトレーナーだからこそ、咬む犬の恐さを知っている、と
言えるかもしれません。

犬の大、小に関わらず、咬む犬に接触するのはとても大変です。
ドッグトレーナーだからといって魔法のように犬を静かにさせたり、
喜んで人のいうことを聞くワンちゃんに変身させられるわけでは
ありません。

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ドッグトレーナーを猛獣使いのように思っている方がいるとしたら、
それは大間違いです。人間が扱える攻撃的な犬の体重は、その人の
体重の5分の1まで(私なら10kg程度の犬まで)という獣医師がいましたが、
私もほぼそれが正しい意見だと思います。

私もプロですから、多少攻撃的であっても首輪とリードさえついていれば
大型犬でもコントロールできます。しかし実際に攻撃的になったときの
扱いにくさは、体重だけでは量れない部分があります。
攻撃のスピード、頻度、タイミングなどは個体差が大きいので、
やはり初めてのワンちゃんの場合はとても緊張してしまいます。

プロなんだから咬まれても平気、なわけは絶対にないんです!

サイボーグじゃないんですから・・・怪我をすれば明日からの生活に
すぐ支障が出てしまいますし、 お預かりのワンちゃんのお世話も
できなくなるかもしれません。自営業で個人経営の私には労災も
保障もありません。

そういうわけで、ドッグトレーナーというのはうかつに咬まれて
不用意に怪我をするわけにはいかないのです。
訪問前に私がしつこく「リードをきちんとつけてください」
「ハウスがあれば入れてください」
「首輪を指一本しか入らないきつさに調整してください」と念を押したと
しても、決して

「臆病なんじゃないか」、「慎重すぎるんじゃないか」とは思わないで
くださいね。


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2007年6月18日 (月)

ミニチュアダックスフンド 人気の由縁

 時折、飼いやすい犬はなんでしょう?、お奨めの犬種はありますか?ときかれることがある。飼い主さんがどいった性質の犬とどう暮らしたいのかによっても違うが、一般家庭で子供がいて、ペットとして飼うのに適した犬と聞かれて私が真っ先に思い浮かぶのは、ミニチュアダックスフントである。

 日本ではもうずっと以前(10年以上?)から、JKC(ジャパンケンネルクラブという畜犬団体)の登録件数において圧倒的にTopの座を獲得し続けているのが、ミニチュアダックスフントである。つまり、人気犬種ナンバーワンの座をずっと維持し続けているのだ、この人気にはそれなりの由縁があると私は思っている。

 ミニチュアダックスは、基本的に「問題行動が起きても治しやすい」というのが、世のドッグトレーナーの共通した意見ではないかと思う。何人かのドッグトレーナーと話しても、皆同じ考えを持っていたし、私自身もそう思う。基本的に陽気で明るく積極的な気質をもち、自分にとって何が得であるかを判断するという点で高い知能を持っている。過去に嫌な思いをしてもあまり根に持たず、「今がよければそれでいい」というこだわりのなさは、問題行動の解決にはとてもいい性質なのだ。

 吠える声が大きく、興奮して吠えやすいという難点はあるが、他の行動に転化させやすいのもダックスの特徴である。また飼い主の行動をよく見ているので、飼い主さんが堂々と振舞っていると自然と落ち着いた行動をとる犬が多い。子犬の頃にきちんと社会化をしておけば概ね問題なく育ち、子供と遊ぶことも大好きで、攻撃の抑制力も高い、体格的に子供と遊ばせやすい大きさでもある。体臭がほとんどなくトリミング費用もかからない、という点もポイントが高いのではないだろうか。

 私自身は癖のある中、大型犬が好きなので飼う予定はないのだが、一般家庭向きと言う意味では日本の家庭事情、住宅事情にこれほどあっている犬はそういないと思う。長時間の留守番もできるし、高温多湿の気候にも強い、服従性が低いといいながらなかなかトレーニングもよく入る。ボール遊びやフリスビーが得意な犬も多いので、アウトドア派の家庭でも楽しめる。初めて犬を飼うというご家庭なら、まさにうってつけの犬ではないかと思う。

 色の豊富さも人気の一端を担っていると思うのだが、ブラックタン、レッド、シェイテッドクリームといったオーソドックスな色に加え、チョコレートタン、シルバーダップル、パイポールド、最近では真っ黒なダックスフントもいるらしい。1頭飼ったら2頭目も欲しくなり、カラーも今度は違う色で・・・といったファッション性もあるように思う。それが良いか悪いかは賛否両論だと思うが、犬の見た目の美しさ、毛色も、「飼いたい」という動機付けになって当然ではないか、と私は思っている。

 私の子供はお客様のワンちゃんがダックスフントだと大喜びである、子供が犬に乱暴しないように見張っていなければならないほどで、犬のサークルに自分が入って友達と遊ぶように嬌声をあげて遊んでいるのだから、よほど楽しいのだろう。お子さんのいる家庭のワンちゃんだと、子供ともよく遊んでくれるし、結構忍耐強いのにも驚かされる。体格は小さいのに小型犬にありがちな気の短さがない、なかなか懐の深いところがあるのもダックスの魅力の一つかもしれない。

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2006年10月20日 (金)

訓練性能と犬種の話

私が訓練士養成学校にいた頃よく耳にしたのが、

「この犬(犬種)は訓練性能が高い」

という言葉。今でも無意識に使っているのですが、これは「犬の知能が高い」
という意味では、必ずしもありません。
「理解力が高くて作業意欲があり、こちらのコマンド(命令)によく従う」という意味で
使っている言葉だと思います。

訓練性能が高い=賢く飼いやすい犬、という考えを持っている人がいたらそれは
大間違いで、たとえばデュークはとても作業意欲が強く(10段階でいえば8~9)、
「大好きなボールをもらえるためにはどうしたらいいのか?」ということに対する理解力は
かなり高いです。

防衛訓練も意欲的ですし、ボールやディスクに対する執着心も強く、コマンドにも良く従う
訓練性能の高い犬です。しかし!!室内飼いしていたときは、どんなに叱っても来客が
帰るまで吠え続け、電話で会話している間も吠えまくり(電話中は私が叱れないのを知ってる)、
私以外の家族が散歩させようとしたらリードを咥えて飛び跳ねまわり・・・
扱いやすい家庭犬とは到底言えません。

訓練性能が高く、おとなしくて飼いやすい、という犬(ゴールデンレトリバーなど)もいますが、
飼い主のいうことはサッパリ聞かない元気一杯の小型のテリアが、実は非常に知能が高い
というのもよく聞く話です。

彼らは人の言うことをなかなかきかないだけで、頭はよく、作業意欲も旺盛なので、
ねずみの駆除や小動物の猟に高い能力を発揮します。

お泊りに来るワンちゃんに、「おすわり」と言っても、数テンポ遅れて

「ん?それは僕に言ったんですか?」

といった顔をしてのんびり座り、ボールにもさして興味を示さず、
レトリバーが1回で覚えることも、数十回繰り返してようやくなんとか理解を
示したかな?というタイプの子がいます。

ところが、その子はチャイムが鳴ったからといっていちいち吠えることもなく、
他人にも他犬にも愛想よく、トイレのシツケは完璧で、人を咬むことなく、
お留守番も上手で、とても飼い易いすばらしい家庭犬です。

飼い主さんが扱いかねてトレーニングを依頼してくるワンちゃんの多くが、
旺盛な作業意欲とエネルギーのある犬だということも、とても興味深いです。
そういうワンちゃんは、しつけというよりトレーニングしてもらうことを望んでいる
(本能的に)ので、ドッグトレーナーにとっては教えがいのある頼もしい犬ですが、
おとなしく愛らしいだけの犬を望んでいる飼い主さんにとっては、

「どーーしてこんなに元気なの!?」とゲンナリさせられることがあるようです。

犬を飼うときは、その犬が本来どのような目的で選択育種されたのか、
ということを十分知ってから飼うべきだと思います。
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